伝統に培われた技術を継承し、
職人の手によって生まれる手彫り印章。

印稿

手書き印稿こそ唯一無二の証。

印稿は印づくりで最も大切な作業です。印稿とは印の仕上がりをイメージした下書きのことを言います。ご注文の文字をバランス良く布字していきます。この段階で印の良し悪しが決まります。職人それぞれに個性があり、手書きの印稿こそが唯一無二の証なのです。

一般的に実用印が庶民に普及し始めたのは明治時代の初めころと言われています。そのころから印稿書き・印材へ字入れ・荒彫り・仕上げといった工程はほとんど変わっていません。
印稿は既に説明したように、印の下書きになります。字入れは布字とも言い、印材へ印稿を逆さまに書き写す作業になります。そして文字の周りを彫る荒彫り、最後に文字の線を整える仕上げです。
近年では機械の発達により、彫刻機を使って彫る「機械彫り印章」を見かけることが多くなりました。印稿はパソコンを使って書体を画面上に呼び出し、荒彫りは機械が行います。仕上げは行いません。そこには職人と呼ばれる者の手は一切加わっていません。安価な印章のほとんどはこうして作られた印です。それはもはや生きた印とは言えません。

たとえ彫刻機を使ったとしても、文字を書く、荒彫り後には仕上げ刀を使って線一本一本の切れを出し、一刀一刀魂を吹き込み、生きた印に仕上げてこそ世界に一つだけの印となるのです。

職人の道具

印刀研ぎは10年で一人前

印づくりに使われる道具は、職人によって異なりますが基本的な工程は変わりません。道具の進化によって使われる道具もさまざまです。
しかしながら、印刀だけは変わりません。持ち手の太さや刀の角度は職人によって異なりますが、印刀そのものは変わりません。
私は先生から「印刀研ぎは10年で一人前」と言われたことがあります。印刀本来の切れを出すためには何度も何度も研ぐことが大事です。印刀を見ればその職人が上手いか下手かも分かります。切れ味の悪い印刀で良い印は彫れません。
印は、印稿が書けて、印刀が研げれば彫れるということになります。しかし、これが難しいのです。印章彫刻を学んで二十数年、まだまだ修行の身です。皆様に生きた印をお届けできる様、日々精進して参ります。

・受賞歴
第六十四回大印展 褒状
第二十三回全国印章技術大競技会 入選
第六十六回大印展 入選
第二十三回全国印章技術大競技会 銅賞
東京都優秀技能者都知事賞(東京マイスター)受賞

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